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■制作ノート■

べすと おぶ まいらぶ
Comic LO Vol.21(2005年10月)掲載作品


ひな子とアキラ。
このふたりのエピソードが浮かんだときは、
正直これを描いていいものか悩みました。
今までは、どこにでもいそうな少年少女達を描いてきたので、
リハウスガール的な正統派美少女のひな子や、
その相手であるロクデナシ風の成年であるアキラは
僕的にはかなり異端なキャラでした。

僕は、大抵自分の画力とか構成力も考慮にいれずに
イメージ先行で作品を考えるタイプなので、
手を動かすよりも前に、作品のビジョンが浮かぶのですが、
今回浮かんだビジョンが、自分らしからぬものだとは思いつつも、
ビジョンの中のひな子に思わずぞっこん(死語?)になってしまったので、
これは是が非でも描かなくては…ということになったのです。

力量を考慮にいれないことで生じた最初の問題は、
ひな子が「美少女」だということでした。
美少女としてのキャラを描こうとしたことがなかったので、
どう描いたら美少女として伝わるかで悩みましたし、
こと「美少女」というのは、現実と違い漫画の中では
没個性的な個性になりかねないので、
自分のイメージした「すごい可愛い」けれど
「それだけではない」ひな子をどう表現するか
これは僕の画力や表現力では、非常に困難でした。

「あでい…」の時もじわじわと絵柄を変えてましたが、
今回でもまた少し変わりました。
もともと、僕が最初に考えるビジョンが
「漫画絵」でのイメージではないので、
まずそれを自分の絵にコンバートする必要があるのです。
ビジョンが明確になればなるほど、
低い等身にコンバートするのが難しくなるので、
今回は小学生であるにも関わらず、今までで一番
等身が高くなったような気がします。
それでも実際の小学生の方がもっと等身高いんですけどね…。

自分が少女に感じる魅力をコンバートするにあたって打ちだしてきたデフォルメ方法のひとつである
「胴長短足」が、今回はちょっとやりすぎなくらい出てしまっているので、
気になる人にはちょっとキモチ悪く見えるかもしれません。
今後、やり過ぎない程度でより効果的なバランスをもっと追究したいと思っています。

あいかわらずショートストーリーとしてまとまったカタチのお話を作ることに不慣れな自分は、
またもや、中長編向きの話を考えてしまいましたが、
なんとかその中から1本に抜きだせるところをと思い、今回のプロットを立てました。
しかし、「もし要望が多ければ、続編を描いてもいい」ということになり
あえて投げっぱなしの伏線も残させてもらったので、
結果的に1話完結としては、やや不完全な感じがするものになってしまいました。
この点においては「あでい…」の第1話の方が1話読み切りとして成立できていましたね。

次に、自分の力量を考慮にいれなかった事を悔やんだのは、
「無言で会話する2人」の表現でした。
漫画という表現媒体で、無言で会話するというのがかなり高度な表現方法だということに
ネームを描き始めるまで気づかなかったわけですから間抜けです。
しかし、これが成功しなければ作品として空疎になるので、この試行錯誤には多くの時間を割きました。

ひな子もアキラもそれぞれ言葉にできない感情を相手に投げ掛けている。
そんな空気感がどうやったら伝わるかは、最終的には計算ではなく、
イメージをダイレクトに紙面にぶつける方法を模索しながら、
かなり力技でイメージに近づけました。

まあ、それで伝わるかどうかは別問題なのですが、自分では及第点じゃないかと…思っています。

LOでかなわないとしても、いずれ続きを描くつもりなので、あまり描くとネタバレになるので、
この続きは、続編を描いたときにでもしようかと思います。

「あでい…」のカコ、つぐみ、智早達同様に自分が溺愛しつつ描いたひな子もまた、
より多くの人に愛される子であればと願います。




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